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本格抹茶カフェ「雪月華」ニューヨークにオープン

−日本産抹茶 を使用し茶道の普及を図る−

(米国)

ニューヨーク事務所発

2017年10月6日


ニューヨーク市のイーストビレッジの一角に、ショーウインドー越しに畳が見え、洗練された雰囲気が漂う抹茶カフェがある。茶道の美しさを広めることを目指す Tea-Whisk の最高経営責任者(CEO)森絢也(もりじゅんや)氏と茶道家の森宗碧(もりそうへき)氏夫妻が、満を持して2017年4月にオープンした「雪月華」(せつげっか)だ。同夫妻に、茶道普及活動のきっかけから、路面店出店までの経緯を聞いた(インタビュー:2017年8月7日)。 

ニューヨークに魅せられたことがきっかけ

問:ニューヨーク市で会社を設立しようとしたきっかけは。 

 答:もともと茶道の素晴らしさを海外に広めたいと考えていた。22年前(1995年)にニューヨーク市を訪れた際、忙しい街だからこそ茶道の真髄が伝わると思い、ここで茶道を広めたいと考えたのがこの地を選んだきっかけである。それ以来、日本で茶道を本格的に学ぶ傍ら、15年間毎年、ニューヨーク市を訪れた。そして、2011年に茶道の普及活動を本格化するために夫婦でニューヨーク市に引っ越し、2015年には活動の幅をさらに広げるために会社を設立した。 

 

問:茶道普及活動の経緯は。 

 答:2011年の引っ越し後に日本で東日本大震災が起き、何か日本のためにできることはないかと考えていた。ちょうどその時に、英語を学んでいたニューヨークの語学学校から声が掛かり、茶道クラスを学校のチャリティーオークションとして出品。それをきっかけに、多い場合は週3回も茶道のクラスを行うようになった。2011年から2013年にかけて250回開催し、延べ1,000人以上が参加しており、今でもその時のお客様に支えられている。

 

Souheki Mori
写真_店舗で抹茶をたてる森宗碧氏(Tea-Whisk 提供)
Setsugekka East Village
写真_店内の様子(Tea-Whisk 提供)

茶器などの物販や茶道の稽古も実施

問:店舗での活動は。

 答:雪月華は、2017年4月末にオープンした。店舗の奥で、日本産の抹茶を目の前で一服ずつたてることが特徴の抹茶カフェだ。茶だけではなく茶器や茶筅(ちゃせん)などの物販も行っており、予想していたよりも売れ行きがいい。ここでは実際に茶をたてているのを見て味を体験できるため、茶器や茶筅など、飾ってあるだけでは使い方が分からないものについても購買意欲が湧くようだ。 

 

  店舗内の手前には、日本から取り寄せた京間の畳を配置し、週に1〜2回、平日を中心に茶道の稽古を行っている。 

 

問:どのように立地を選んだのか。

 答:最初はオフィス街であるマンハッタンのミッドタウンで、疲れた人を癒やせるような「心の安らぎ」を提供する場所を想定して探していた。しかし、ミッドタウンの物件は面積が広く、家賃も高い。そのため、設計事務所の協力を得て他のエリアでも探したところ、ちょうど良い条件の物件が空いていたのが今のイーストビレッジだった。理想は、平日はオフィス街で働いている方、土日祝日は居住者をターゲットと考えてはいるが、イーストビレッジだとオフィス街の顧客を取り込むのはなかなか難しいのが現状だ。

 

問:人気のメニューや客層は。 

 答:伝統的な薄茶からアーモンドミルクを使った抹茶ラテまで、特定のメニューではなく、さまざまな種類の茶が飲まれている。店内に飾られている、抹茶のもととなる碾茶(てんちゃ)(注)をひくための石臼は、京都の茶屋から中古で買い取ったものだ。この石臼を使用した、ひきたての抹茶を8月中には店内で販売したいと考えている。

 

  来店者は、ニューヨークの住人だけでなく、米国内または南米や欧州からの旅行者までさまざまだ。日本が好きで茶道に興味を持って訪れる人もいれば、抹茶を健康商品と捉えて購入する人もいる。また、茶道稽古の生徒は10〜50代と幅広く、出身地も米国内だけでなく、ロシア、南米、アジアなどさまざまである。物質的な豊かさよりも、精神的な豊かさとして茶道を求めて、弁護士、モデル、トップアスリートのトレーナーらも参加している。茶道は国籍に関係なく、普遍的に受け入れられていると感じている。

 

問:プロモーション方法は。 

 答:現在、プロモーションはウェブサイト、フェイスブック、インスタグラムと、登録制メーリングリストが中心だ。⻑年活動してきた茶道レッスンの効果もあり、リストには合計800人程度がいる。 

Setsugekka East Village
写真_森絢也・宗碧夫妻(Tea-Whisk提供)

抹茶の生産者を訪問し、高品質な商品を扱う

問:取り扱う日本産抹茶は、どのようにして選んだのか。 

 答:少量生産をしている小規模の日本企業の高品質な商品を扱いたいと考えている。味だけでなく、バックグラウンドを知り、そのストーリーも大事にしたいと考えており、取り扱う前には夫婦2人で実際に生産者を訪問してい る。

 

問:今後の課題は。

 答:現在は、手間がかかる規制対応、店舗運営、将来に向けたことなどを夫婦2人だけでこなさなければならず、取り組みたい活動も多いので、非常に忙しい。一方で、将来的には、2店舗目をミッドタウン、3店舗目を⻄海岸、最終的には日本でも展開したいと考えている。そのためには、店を任せられる人材を育てないといけない。フランチャイズ展開には、茶道も含めた人材教育が必要という観点から、単純なマニュアル化は難しく、困難が予想される。2017年秋以降には、店舗内で、陶芸や書道など日本人作家による展示会を3回開催する予定だ。

 

 

(注)蒸した後、揉まずにそのまま乾燥させた茶葉。

 

(沼田 茂仁、デラコスタ 葉子)

 

 Food & Agriculture 3158

 

(米国)

 

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